日本人の睡眠時間は、どのくらい?
20歳以上の男女合計の人数に対する一日の睡眠時間別の割合
平成20年 | 睡眠時間6時間未満 | 29.7% |
平成27年 | 睡眠時間6時間未満 | 39.5% |
平成20年 | 睡眠時間6時間以上7時間未満 | 35.8% |
平成27年 | 睡眠時間6時間以上7時間未満 | 34.1% |
平成20年 | 睡眠時間7時間以上 | 34.5% |
平成27年 | 睡眠時間7時間以上 | 26.5% |
平成27年度 国民健康・栄養調査結果の概要によると
睡眠時間が6時間未満の人
H20年→29.7%
H27年→39.5%と、約10%近く急増。
逆に、7時間以上の人は
平成20年→34.5%から
平成27年→26.5%へと8%減りました
日中に過剰な眠気を訴える率は、欧州5か国19,000名を対象とした調査、並びに日本の成人3,000名を対象とした調査では、15%に認められました。
全体として、睡眠不足が常態化しているようです。
睡眠不足の自覚がない?「睡眠負債」とは
1日6時間程度寝ているので、自分では睡眠に問題はないと思っている人は多くいます。
しかし、実はわずかに睡眠が足りていない為、その影響がまるで借金(負債)のように蓄積することがわかってきました。
この「蓄積する睡眠不足」を「睡眠負債」と名づけています。
正式には、行動誘発性睡眠不足症候群の名称で呼ばれています。
怖いのは何故か?
わずかな睡眠不足が長い間蓄積した場合、なかなかその影響について自覚できないのです。気が付くと、「がん」「糖尿病」「心臓病」といった日本人の重大疾病へとリスクを高めてしまうことになります。
しかも最近の研究では、普段6-7 時間寝て自分では「睡眠は十分」と思っている人でも、わずかな睡眠不足が蓄積する「睡眠負債」によって命に関わる病のリスクを高めたり、日々の活動のパフォーマンスを劣化させたりしていることがわかってきました。
パフォーマンス低下&高まる重大疾病リスク
最近の研究で、睡眠負債により仕事や日々の生活の質が大幅に低下する実態が見えてきました。
ある研究では、毎日6時間の睡眠が2週間続くと、2晩徹夜したのと同じ脳の状態になることが判明!
さらに、血糖を下げるホルモン・インスリンの働きの低下や、アルツハイマー病の原因とされる物質の蓄積を引き起こす危険も見えてきています。
がん・認知症のリスクが高まる!?
最新の研究で、睡眠負債がさまざまな病のリスクを高めていることがわかってきました。
重要視されているのは、睡眠とがんの関係です。
2014年に米シカゴ大学が行った研究では、実験的に睡眠を不足させたマウスでは、がん細胞が増殖しやすくなることがわかりました。
本来ならがん細胞を攻撃するはずの免疫細胞が、睡眠不足の場合、がん細胞の増殖を手助けするようになる可能性が見えてきたといいます。
実験を行った研究者は、今回の研究はマウスを特殊な方法で睡眠不足にしているので、
この結果をそのまま人間の睡眠負債にあてはめられるかどうかは議論の余地があるとしながらも、人間でも同じことが起きている可能性が高いと指摘しています。
睡眠負債は、免疫システムの働きに影響を及ぼし、結果としてがんのリスクを高めている可能性が見えてきました。
東北大学が、女性およそ2万3995人を7年間追跡し、
睡眠時間と乳がんの発症リスクの関係を調べた研究では、
平均睡眠時間が6時間以下の人は、7時間寝ている人に対して
乳がんのリスクがおよそ1.6倍になることがわかった。
もうひとつ注目視されているのが、睡眠負債と認知症のリスクとの関連です。
スタンフォード大学の西野精治さん(睡眠生体リズム研究所長)らは、マウスを使った実験で、睡眠中にアミロイドベータと呼ばれる脳のごみが排出されることを突き止めました。
アミロイドベータは、認知症の最大の原因であるアルツハイマー病の原因物質とも言われており、発症の20-30年前から蓄積するといわれています。
つまり、働き盛りの時期に十分な睡眠をとっていないと、数十年先に認知症になるリスクを高める可能性があるのです。
どう見極める「睡眠負債」
では自分に「睡眠負債」があるかどうか、どうすれば見極められるのでしょうか?
ひとつの目安は「寝だめ」が起きるかどうかです。
週末、光が入らないよう寝室の遮光をしっかりして、時計や携帯など時間がわかるものを持たずに寝てみます。
そして眠気がなくなるまで、ぐっすりと寝ます。(目が覚めても眠気が残っている場合は、2度寝してください。)
もし睡眠負債がある場合、こうした睡眠に理想的な環境では、体は自然に負債を返済しようとします。つまり、普段より睡眠時間は長くなるわけです。
番組に出演した専門家によれば、「遮光して時間を気にせず寝た場合に、睡眠時間が通常より2時間以上長くなった場合は、睡眠負債があると思ったほうが良い」ということです。
ただ、仕事に忙しかったり、子育て中だったりして、こうした「実験」をするのが難しい人もいるでしょう。
NHKでは、睡眠医学の専門家の監修のもと、
質問に答えるだけで睡眠負債リスクを調べられるチェックリストがホームページで開示されています
参考:NHKスペシャル「睡眠負債リスクチェック」
http://www.nhk.or.jp/special/sleep/
ぜひ、あなたのリスクについて調べてみてください。
睡眠負債 どう負債を返済するか
睡眠負債のリスクがあるとわかったら、どのように返済したら良いのでしょうか?
答え
「これまでより長く寝る」ようにすればよいのです。
ただし専門家によると、「週末の寝だめ」に頼ろうとすると生活リズムが乱れ、
平日の睡眠に支障が出てかえって負債を増やしてしまうリスクが高いのだそうです。
お勧めするのは、平日の睡眠時間をいまよりちょっとだけ多めにし、週末も同じ時間をキープすることです。
1日に必要とされる睡眠時間は年齢によって変わりますが、20~50代の働き盛りの世代であれば、1日に7~8時間程度とされています。
忙しい子育て・仕事有の主婦の一工夫
子供にかかる時間を工夫してみる
私たちの体は、朝に目が覚めてから約15時間後前後で眠くなるというメカニズムを持っています。
私たちの大脳は15時間以上使っていると疲れて眠くなることも関与しています。
朝起きた時間で、夜眠る時間がすでに決まっているのです。
午前6時子供起床 午後9時就寝
午前6時起床のために、子供の部屋のカーテンは少し開けて、朝日が入るようにします。
脳のエネルギー源になる糖質を朝食でバランスよくとるようにすることが重要です。
朝ご飯をしっかり食べると、太陽の光にあたってセロトニンが合成され元気に活動できます。
夜になると、このセロトニンがメラトニンに変換され、ぐっすり眠れるのです。
夜は食事・お風呂を済ませたら、午後9時の就寝から2時間前、親と子供の過ごす部屋の照明を落とします。暖色系の明かりにして、照度を落とします。
眠気を誘うホルモンのメラトニンは暗くならないと分泌されません。
夜、いつまでも電気をつけて明るくしていると、メラトニンが生成されず眠くなりません。
脳が眠りの準備を始めます。朝6時の起床から15時間前後経過して午後9時の就寝へと導かれていきます。
子供の起床から就寝までのサイクルを変えてみたらいかがでしょうか。
*「資料参考:睡眠健康大学講義リスト・日本睡眠教育機構睡眠検定ハンドブック他」
働く母親の工夫
いまの自分の生活を振り返り、睡眠が6時間以下であれば、
少しでも延ばせるように暮らしのスケジュールを見直してみたほうが良いかもしれません。
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ご自身の出勤・退勤時間を上司と話して、調整してみる子供の起床から就寝のサイクルに合わせてみる
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食事の段取りを工夫してみる
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休日に8割がたの準備を済ませて、勤務日は少しの時間で、準備完了となるようにする
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子供が散らかしたものを自分で片付けられるようにする子供の動線をよく見て、読み終わった本・おもちゃなどを入れる場所・入れる物を動線の途中に配置して、自分で出来るようにする。
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お母さんの活用時間が増え、イライラが少なくなります。
NHKスペシャル睡眠負債があぶないより
「速やかに寝るための極意10カ条」をご案内します。
参考にしてみてください。
※すべてを行う必要はありません。ご自分の生活に無理なく取り入れられるものを選んでためしてください。
すみやかに寝る10か条
1.午前中に光を浴びよ!
2.食事の時間は一定にせよ
3.運動は夕方に。 散歩も良し
4.カフェインは寝る3時間前までに
5.酒は寝る3時間前までに
6.寝る2時間前より強い光をさけよ
7.風呂は寝る30分前までに
8.寝室は18℃~26℃に保つべし
9.布団でのスマホ・ゲームは御法度
10.寝なきゃと焦るべからず
ここに注目!データ
高齢者の場合、体に必要な睡眠時間は40-50代のころと比べて減るとされていますので、
必ずしも7-8時間寝る必要はありません。